君の首を絞める夢を見た。
光のあふれる昼下がり、君の白く細い喉が跳ねるのを、泣き出しそうな目で見ていた。
「なんて夢みてんの」
「仕方ないじゃないですか。見てしまったんですよ」
まったく悪びれる様子のない骸に私はごくごく軽くため息をついた。
手にしたカップにキラキラと春の木漏れ日が降り注いで、紅茶の色をもっと紅く見せる。
「・・・人を殺す夢はさ」
カップを左右にゆっくりと傾けて、軽い波紋を作った。
カップの中で波打つ真っ赤な液体は、本当に紅茶?
もしかしたら何かもっと別の液体かもしれない。
「実は自殺願望の現われなんだって」
「・・・そう、なんですか」
ニコニコと胡散臭い笑みを浮かべる骸はスッと腕をテーブルの上まで持っていって、どこで見たんだこんなステキな飾りつけのケーキ、と思わず突っ込みたくなりそうなほど見事なベリータルトを再現した。
それを切り取って、自分の前と私の前に置く。
といっても、これはつまるところ"夢"の中なので味は非常に曖昧。もったいないことこの上ない。
「自殺願望・・・なんて、僕には似合わないと思いませんか?」
「・・・そうでもないんじゃない」
驚いたようにこちらを見た骸に、私は頬杖をついて、笑った。
「だって私とアンタ、似てるもの」
僕が僕の首を絞める夢を見た。
光のあふれる昼下がり、僕の喉が跳ねるのを、僕は泣き出しそうな目で見ていた。
私が私の首を絞める夢を見た。
春風に揺れるカーテン、私の切れた唇からつむがれた言葉に、私は目をそらした。
夢から覚めても、僕は泣いた。
夢から覚めても、私は泣いた。
きっと。
僕のいない世界は今よりずっと素晴らしくて、すべての歯車が噛み合った
私のいない世界は今よりずっと素晴らしくて、すべての歯車が噛み合った
きっとそんな世界なんだろう。