「明日、逝くよ」

そういった彼の顔は笑っていて。
いつものように笑っていて。
彼の茶色い髪が午後の風になびいて、薄い金色にキラキラと輝いた。

 

 

 

 




 

 


「・・・」

私は何も言えずに、彼の笑顔を見ていた。
どんな顔をしていいのかもわからずに、ただ呆然と彼の笑顔を見ていた。

彼とは、そう、中学校からの付き合いだったから、もう10年はたつのだろうか。
何をしてもダメダメだった彼についたあだ名が、いつの間にか払拭されて。
それなのにいつまでたっても変わらない、ほんわりと包み込むような笑顔。

彼が笑えば私は笑ったし、私が笑えば彼は笑った。
そんな関係がうれしくて、うれしくて、うれしくて。
―――・・・幸福だった。

彼は慈しむに笑いながら、私の名を呼ぶ。

やめてよ、そんな声で私を呼ばないで。

「泣かないで」

彼の、いつの間にか私よりも大きくなってしまった手が、私の頬に触れる。

触れる手のぬくもりが心地よくて、瞳を閉じた。

 

 

 



 


「綱吉」
「うん」

明日には、この手は冷たくなるのだろう。

「追いかけたりしないから」
「うん」

明日には、彼の笑顔は失われるのだろう。

「もう泣かない」
「うん」

明日には、私と彼の関係は終るのだろう。

「・・・綱吉」

明日には、明日には、明日には、明日には・・・――――。

 

 

 




 

 

 

「愛している」

 





 

 

 

 


私は今、うまく笑えてる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雲ひとつないような、抜けるほど晴天の今日は、悲しいくらいにお別れ日和で。

あなたとの恋は、ありふれた人生を紅く色付ける様な、たおやかな恋でした。
・・・たおやかな、恋でした。

 

 

 

 

 

――――・・・さよなら、愛しいあなた。

 

 

 

 


小林オニキス feat.初音ミク:サイハテ