|
「何してんの?」
ふと影が落ちたとおもったら、聞きなれた声がふってきた。
「・・・昼寝」
柔らかな日差しが心地のいい午後の中庭。
その外れにある大きなイチョウ木の根元のくぼみは、丁度いい昼寝スポットだ。
もちろん只今独占中。
「ふーん?」
声と共にシャクッと落ち葉が踏まれた音がした。
それから連続してシャクッシャクシャクッと踏む音か続く。
「・・・面白い?」
「ちょっと」
「子供かよ」
「10代目よりは、ずっと子供ですとも」
精神的にね、と笑う彼女の顔は本当に子供のような笑い顔。
つられて緩んだ口元を不自然にならないように隠した。
シャクシャクと踏む音は未だに止まらず、シャラシャラ風にたゆたうイチョウ木とうろんな日差しと相俟って、まるでここが殺伐としたマフィア・・・――ボンゴレ本部の中庭ではないような錯覚に陥る。
例えばここはどこかの草原で、マフィアだとかボンゴレなんてものは実は存在してなくて、血の匂いとか組織とか、上に立つものの資質とか、まったく気にしなくてもいい世界で・・・―――。
「あー、そういえば」
「ん?」
「さっきXANXUSが報告書もって捜してたよー」
「・・・」
彼女の「リジェンとの会合関係だってー」という間延びした声が妙にリアルで、現実に引き戻された。
ついでにシャクシャクも止まる。
「・・・やだ」
「えー?」
「行きたくない」
「なんでー」
「せっかく現実逃避してたのに・・・」
「またむっつりすけべしてたの?」
「ほー・・・」
ゆっくりと上体を起こし、そのまま少し後ろにずれ背中を幹で支える。
少し上のほうにある顔を下からねめつけた。
彼女の色素の抜けた茶色い髪が、シャラシャラという音と共に風になびく。
「そうかそうか、は常々そんなこと俺に対して思ってたわけか」
「うっ・・・ごめんなさい、ちがいます」
「・・・まったく」
はぁ、とため息をはきつつ「仕方ないな」と誰とは無くつぶやいて、立ち上がった。
一気に背を追い越した茶色の髪にぽんっと手を乗せる。
「XANXUSは書斎?」
「たぶんねー」
一歩踏み出すとまた、シャクッと音が鳴る。
例えばここはどこかの草原で、マフィアだとかボンゴレなんてものは実は存在してなくて、血の匂いとか組織とか、上に立つものの資質とか、まったく気にしなくてもいい世界であったとしても。
シャクシャクシャラシャラ鳴る音色。
それからこの、色素の抜けた茶色い髪は変わらずここに――・・・隣にいてほしい。
「・・・」
「なにー?」
「・・・いや」
―――・・・だなんて、言える訳が無かった。
「ふーん?変なの」
「変で結構」
「んまー、私は好きだよ、綱吉のそういうトコもさ」
シャラシャラ
シャラシャラ
風が鳴った。
たわし feat.初音ミク:わすれもの
|