|
そう、一番仲のよかった友達に言われたのは中学3年の冬。
ボンゴレファミリーのボス専用執務室のドアを開けると、冬の柔らかな午後の日差しが淡い色のレースカーテンを透けてキラキラと踊っているのが真っ先に目に入る。 「・・・」 何故ボンゴレのボス専用執務室には日当たりのいい窓と白くきれいなバルコニーがついているのかを以前、ずいぶん古株の幹部に世間話程度で質問したことがあったのだが、何のことはなくて、ただ単に四方を壁に囲まれた部屋にいると息が詰まって仕事ができないという理由で、何代目かのボスが(ここら辺は何故かはぐらかされてしまった。もしかしたら先代かもしれない)客間として使用していた部屋の中身をごっそり入れ替えて執務室にしてしまったのだとか。 だから決して、その日当たりのいい窓と白いきれいなバルコニーは"休憩"と書いて"サボリ"と読むような作業をするためにあるわけではない。
私は白いバルコニーの柵にだらしなく両肘をつく、冬の柔らかな午後の日差しをキラキラはじく茶色の髪と、あまり風はないのかゆらゆらと立ち上る紫煙を認めて、とうとうため息をついた。 ボンゴレファミリーの正式な10代目になって間もない頃は、サボることのなかった彼――というよりも、例の最強ヒットマンにして最凶の家庭教師である生きる伝説がサボらせなかった――だが、最近は隙を見ては必ず休憩という名のオサボリタイムを取る。 喫煙にしてもそうだ。 「はぁ・・・」 私は再度ため息をついてから、窓へと足を踏み出しその冬の柔らかな午後の日差しの透ける淡いレースカーテンの隙間から真鍮の取っ手に手をかけた。
「まったく、なにやってんの。書類ほっぽって」 驚かないところを見ると気づいていたらしい。 「がいれたの?」 ジト目で見上げると彼はにんまり笑って「さぁね」なんて嘯きながら、私の手からカップをとうけとる。
――――・・・あんたさー、沢田といてなんになるの?
風に揺れる針葉樹のざわめきに、一番仲のよかった友達の声を聞いたような気がして、私は少しだけ口元を緩めた。 「なーにニヤニヤしてんの」 しれっといった私に彼は笑いながら「あー、ハイハイそーですかー」なんて答えてエスプレッソをすする。 そんな、何の変哲もない、冬の日。
私は彼女なりの心配をする一番仲のよかった友達をしばし無言で見つめた後、笑った。 「私はね、綱吉といて"しあわせになる"んだよ」 それをいった後の「あー・・・ハイハイご馳走様」とでもいいたそうな彼女の顔を、私は一生忘れない。
そうだから、ね、綱吉。
"I love
you(私はあなたといれば、幸せです)" |
<あとがき>
REBORN企画サイト「Unlimited」さまに捧げたSSです。
タイトルはイタリア語で"日常生活"ですね。
マフィアという職業(?)はやっぱりなんやかんやで"明日死ぬかも"しれないという"刹那"な職業だと思うのです。
だからこそ"今日という日常"を大切にしそうだなぁという発想からタイトルつけました。
ツナさんの年齢は特に考えてない(ぇ)んですけど、そろそろボスの貫禄がでてきたカナー程度な時期だということで・・・。
さて、私の「I
love
you」に対する意訳ですが、本文にもだしました"私はあなたといれば、幸せです"です。
いやー、一言"幸せ"にしようかと思ったんですけど、ほら、文法的に!(そこだけ忠実なのかよ)
まあ、まじめに語りましょうか。
愛ってなんだろう、って考えたときに真っ先に思いついたのが"しあわせ"でした。
「愛してる」って言われると、目元が緩んで口元が緩んで、すごくうれしくて笑顔になれます。
時と場合によってはちょっと涙ぐんじゃいます。そして私はこう思うのです。
「ああ、幸せだなぁ」
・・・って、すごく普通な解釈をしました。
うう・・・もっとなんか文学的で幻想的な言葉を捜したんですけど、どれもこれもしっくりこなくて・・・。
私の中での「愛してる」は「しあわせだなぁ」で固定のようです・・・。
そんなわけでこの作品のテーマは「あなたといるしあわせな日常のヒトコマ(マフィアVer)」です。
ちょっとほっこりしていただけたら、僥倖でございます。