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朝目がさめると、制服が変色していた。
「・・・おかああああさああああぁぁあーーーーーんっ」
半べそをかきながらその変色してしまったジャケットをもって、階段を駆け下りる。
今日は卒業式だっていうのに、いったい何の冗談か。
というか濃い目の若草色ってどうなの。
「おかあさーん」
「あらオハヨー、どうしたのよ半べそで」
「ジャケットがおかしくなっちゃったよー」
「・・・?」
母は私とジャケットを交互にみて、いぶかしげに眉をひそめた。
「どこもおかしくないじゃない?」
「ちょ!どうみてもおかしいでしょ!緑だよ緑!」
どうやら目玉焼きを焼いてくれていたらしい母は、フライ返しを片手にもったままポカンと口をあけ、次の瞬間「ぶっ」と音がわかるぐらい噴出した。
「ちょっと、やぁねぇってばっ」
アハハ!と笑って、苦しそうに息継ぎをして、それはそれは面白そうに母は言ってのける。
「あんた、まだ寝ぼけてんの?今日入学式でしょ、泥門の」
とりあえず、いつも乗る駅からいつもの時間の電車に乗った。
いつものように2駅通過したあとの駅で降りる。
変わらない駅の様子、変わらない駅員さん。
ただ・・・降りる生徒の大半が濃い若草色のジャケットを羽織っていて、駅の名前が"泥門前駅"になっていた。
泥門。
ジャンプで連載中のアイシールド21に世界に出てきてましたね。
確か進学校。・・・うん、確かに私が通ってたのも私立の進学校でした。
いや・・・いやいやいや、ちょっとまって。
罠?罠かしら。
あ、ひょっとして日頃からずーっとドリーム小説なんて漁ってた私に対するいやがらせ?・・・だれからのじゃい。
いやしかし、夢・・・夢か。うーん・・・読みすぎとかなんだろうか。
病気か私は。心の病か。駅名とジャケットがソッチの方向に見えてしまうほどに私はアイシーの夢を見たかったのか・・・。
・・・いや、うん・・・。
落ち着こう、落ち着こう自分。
とりあえず落ち着いて考えるんだ。
お母さんもお父さんもおばあちゃんも弟も、みんないつもどおりだった。
ただ、中学生の弟が台所に顔を出したとき、ガクランを着ていた。
ブレザーはどうしたのかと聞いたら、変な顔をされて「ずっとガクランじゃん、変なおねえちゃん」と首を傾げられた。お母さんにも「あんたほんとに大丈夫?」とか心配されてしまった。
いつもと変わらない家族。
少し装いの違いはあったけれど、まあそれは、置いとこうこの際。
・・・私、今日、高校の卒業式のはずでしたよ確か。
なんですか、これ。
お母さんの話ぶりじゃあ私、高校1年ですよ、しかも新入学生ですよ。
あんなに授業中寝てしまって、あんなに成績も下落したけど、何とか大学も合格して、何とか卒業見込みも貰えて・・・――――私の大学ライフはいずこへ・・・。
結論。
どうやら私、トリップしただけでは飽き足らずタイムトラベルも起こしている模様。
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