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―――・・・いる。
校舎も変わりなかった。
ただ、正門の昇降口がある雨よけのところの学校名が"私立泥門高校"になってたけど。
―――・・・いるよ、いるいる。
まずは入学式の席でセナくんを発見した。
同じクラスかもしれない、並び的に。けどだからって、モーションとかかけませんよ。
てか、かけられない。
だってあなたこれ、腐った乙女たちの素敵なドリーム小説とかじゃないしね。
下手にかかわんないほうがいい。
絶対いい。
とくにヒル魔にはかかわりたくない。
かかわったら絶対こき使われるし、私運動音痴だし、アメフトとか・・・アイシーは見てたけど説明はもうなんかマッハ飛ばしで見てたから、ぜんぜんわかんないし。
―――・・・あ。
セナくんが小突かれた。あーあ、ナニアレ。
高校生にもなって・・・あー、てか高校生だからこそ?なのかしら。
ていうか、一応同い年なんだよねアレは。
まあ、元の世界じゃもう卒業間近の高校3年だったんだし、ある意味達観してるかもしれないけど。
にしても、子供だな。
とは思うものの、私はやっぱり手出ししない。
面倒は避けたいんだ。セナくんには悪いけど。
だってこれから3年間・・・いや、最低1年はアメフト部と関りたくない。
ていうか、ヒル魔さんと関りたくない。切実に。
あれ、ていうかセナくんが同じクラスということは、例のハァハァ兄弟も同じクラスですか。
「・・・」
生ぬるく笑ってみる。
なにこの、アメフト部多すぎる環境。
おかしいだろ。
私はいやだそんな・・・ラブラブ甘々なドリームならともかく。
というか、私が等身大でこの世界に降り立った時点で、そのラブラブとかそういうのは無きに等しいっていうかありえない。
せめて、せめて顔がかわいくなってるとか、スレンダーな人になってるとか、モデル体系になってるとか
こう、ドリーム女主人公の特権的な何かをもってこの世界に転がり込みたかった。
なに、この、等身大。
身長151、体重5(企業秘密)、胸のサイズE。
いわゆる丸顔。足は大根、太ももなんて両足そろえたらぴったりくっつくし。腹つかめるし。
なに、この、すごく・・・等身大です・・・な感じは。
ちくしょおおおおおおぉおおおおぉぉおおおっ
とりあえず心の中でむせび泣いてみた。
教室にはいって、担任の簡単な挨拶が終わって、自己紹介なんてのも終わってとんとん拍子に今日が過ぎていく。
放課後になるころにはもう、私も諦めがついてしまった。
もう一回あの受験の苦労をするのはいやだけど、でもまあ・・・今度はちゃんと授業を寝ないで受けるとかテストでいい点とってお小遣いを増やしてもらうとかしてみたい。
―――・・・ああ、でも部活は無理かなあ。
ふと、押し付けられるようにして貰ってきた勧誘のチラシを見る。
どこにも『合唱部』の文字はない。
私はむぅっと口を尖らせた。
―――・・・まあ、アメフト部とかかわんなきゃ帰宅部で十分十分。
と、チラシをトントンっと整えてかばんに突っ込んだ。
入りきるはずのない教科書はすでにロッカーと机の中にしまいこんである。
私はおもむろに立ち上がって帰る準備を始めた。
そうやって、どんどん日にちは過ぎていった。
私は何事もなく普通の高校1年生として再スタートをきり、そして・・・。
いつの間にかクラスの女子にハブられていた。
アッレェ?
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