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ぱりぱり
ぱりぽりぱりぱり
「・・・・」
―――・・・しかし、やっぱりおかしい。
海苔を食べつつ乾燥剤を族学の方に渡していく。
それにしてもかわいそうな人たちだと思うほんとに。
で、何がおかしいって、今朝のあの卵焼きのことだ。
明らかにアレは家の卵焼きだし、それに何よりあの時ヒル魔は「お前が教えたんだろ」的な顔をした。
ほんの一瞬だったけれど。
それでふと、思い出したのだ最初私がヒル魔と顔を合わせたときヒル魔はなんていった?
「・・・まさか」
―――・・・私は、過去のヒル魔にあったことがあるのだろうか。
そう、私はタイムトラベルを起こした前科がある。
「いやでも・・・」
今の私には"過去のヒル魔に会った"記憶はない―――つまり、トラベルが起こるのはこれから先の事ということになる。
だがそれだと、だ。
私が進んだところから逆行して過去に飛んで、もう一度進むとすると、今現在私は2人存在することになってしまう。いや、ソレよりも過去にトラベルしたとして、その世界に"私"は存在するのか。
そう、私はこの世界の住人ではないから、ある種イレギュラーな存在のはずだ。
別の世界からある一定の地点で出現して、そこから前に進むが、あるポイントで逆行し、出現地点より前のポイントに現れ・・・そして?
そして、どうなるのだろう。
イレギュラーの存在によってこの世界の法則が歪められたとしたら、きっとどこかで修正が行われる。
その修正が、私の排出だとしたら。
―――・・・排出って・・・もとの世界に排出されるとは限らない・・・。
そう、修正されるには私がただこの世界から消えるだけでいいはず。
つまり。
「・・・死」
「おい糞小動物」
ハッとして顔を上げた。
のり缶とライフルを抱えたヒル魔がムスッとした顔で見ている。
「テメーまだ1缶くってねぇのかよ」
「ちょ、そんなに一気に食えませんよ!」
「うそつけ。テメーなら一気に5缶いけるだろ」
「どっから出たんですかその数字!」
族学の方たちからちょっと笑いの漣が起こった。
ちなみにその横では栗田が大量(数えるのもめんどくさい)の缶を積み上げており、ルイさんがゲッソリしかし黙々と弾丸の火薬を抜いて乾燥剤を入れる作業を行っている。
ソレを生ぬるいまなざしで見やってから、ふと思いついたように口をあけつぶやいた。
「ヒル魔さん」
「あん?」
「私は、あなたに前あったことがあるんですか」
「・・・っ」
その、顔。
「・・・あるんですね」
そのせいで、疑念は確信へと変わってしまった。
私は飛ぶんだ。
いつかわからない、近い未来、私は過去へと飛んでしまうのか。
「・・・おまえは」
ヒル魔の細くしなやかな指が、髪に絡まる。
「いつでも、いつまでも、そのままでいろ」
まっすぐに射抜くその墨色の三白眼。
「いいか、何があっても俺だけは、お前の味方をしてやる」
ゆれる、銀の耳飾。
「だから、いつでも信じろ。いつでも頼れ。―――・・・いいな」
頷くことしかできなかった。
気を緩めたら、涙があふれてきそうだった。
ずっと、心細かった。
何も変わらないはずの家族、何も変わらないはずの日常。
それなのに、どこか違う。何かが違う。―――その不安。
そして・・・―――ソレを判ってくれる人がいる事の安心。
完全ではないにしろ、ヒル魔は判っている。
私が何か尋常でない力で、存在しているということに。
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