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「ぜっっっっったい!! い、や!!!」
きっぱりそう言い捨てられた彼はその笑顔を凍らせたあと、小さく肩を落とした。
いつだったかパクノダに「その内"お父さんなんてキライ"って言われちゃうわよ」といわれたことを思い出し、彼はさらにため息をつく。
そんな父親に鼻息も荒くフンッと横を向いた少女は、先月に5歳の誕生日を迎えたばかりだ。
だがしかし、見た目は既にそこらへんの10歳前後の子供と変わらず、しかもその知識といったら大人顔負けで――言動などに関しては思いっきり5歳児なところが見え隠れしているが、ぼっとすると"ちょっとお馬鹿な10歳児"に見えなくも無い。
「なぁに、何の騒ぎ?」
「かーさん!」
奥の部屋からヒョイッと顔を覗かせたに、はパッと顔を輝かせて「コレッ!」と1枚のはがきを差し出す。
彼女は訝しげに其れを受け取り、目を丸くした。
果たして、はがきには「ハンター試験 受験承諾書」と書かれていたのである。
「いつの間に応募したの・・・」
「えっとね、誕生日のときかな」
「・・・ー? あんたまたシャルのパソコン無断使用したわね?」
「うっ・・・り、履歴なんか残ってないもん!」
彼女は「そういう問題じゃない」とため息をついたがしかし、ハンター試験受験に関しては別に止めるつもりは無かった。
むしろいい社会勉強になるだろうし大賛成だ。
いつも修行のためとはいえ蜘蛛の誰かしらと一緒に居るは、一人になることが極端に少ない。
というか、一人になったのは前回の大仕事のとき――あの時は育児休暇であるにもかかわらず、参加するを得ない状況だった――だけではなかったろうか?
あの時はも一緒に連れて行くかどうかで蜘蛛が真っ二つに割れたのだが、それも今では良い思い出だ。
とりあえずそれは置いて置くにしても、これではがとんだ箱入り娘に育ってしまう。
それは良くない。
彼女は一人うなづいて「で、さっきの騒ぎは?」と真っ黒な瞳の親子を交互に見やった。
「あのね、とーさんが、心配だから一緒に行くっていうの・・・」
頭を抱えた彼女である。
「って、訳なんだけど」
「・・・それで、オレにどうしろっていうのさ」
真っ黒でつややかな長い髪をサラリと上に掻き揚げながら、イルミはいつもの無表情のまま彼女を見つめた。
彼女は「やぁね、察して頂戴よ」と喉の奥で笑う。
「今回の依頼、十老頭がいるとこだけど・・・ハンター証ないと入れないんだし、ね?」
「・・・」
彼は無言で彼女を見やった後指を2本立てた。
ピクッと彼女の眉が上がる。
「せめてイチゴーにしない?」
「じゃあヤダ」
「・・・」
腐っても商売敵(今は双方ともにお得意先であるが)金にがめついのはお互い様である。
彼女はひとつため息をついた後、両手を挙げて「わかったわ、200万追加ね」と嫌そうに口を開いた。
翌2000年1月5日。
彼女はお気に入りの革製ウェストバックにいまだに身長とつりあってないホルスターをつるし、一路ザハン市に向けて旅立ったのである。
そして1時間後、娘の後を追おうとしたクロロがに発見されたとか、されなかったとか。
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