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「なん、ですって」 事件は日差しも柔らかくなり始めた、雪解けの季節に起きた。 「それで、ジルは・・・そう、判ったわ。銀髪の、大柄な男ね・・・――ええ、心当たりがあるの」 彼女の声は凍てついていた。 「とりあえず早く帰ってきて。・・・いいえ、追ってこないわ。彼はプロだもの・・・ああ、そう。ゾルディックよ・・・ええ、わかったわ」 彼女はその白い表情のまま電話を切り、細く長いため息をつく。 「・・・ジーくんどうか、した?」 ジーくん、本名はジルギム。 「もう、会えなくなったわ」 ここは本拠地。流星街。死は常に隣人であり、死神が友である街。 「かーさんは、会えなくならないよね」 判っているのだ、少女は。
少女は顔を洗い、瞳を閉じたままタオルを探す。 ―――・・・本当になんとか、だった・・・まあいいけど。彼女のアクティブさには時々面食うよ、まったく。 指先に触れたやわらかいタオルの感触に少女はホッとして、それを顔に押し付けた。 ―――・・・これでシズクが入団すればこっちは完璧だし、俺らはそろそろ次のステップに進んだほうが良いかなぁ。 使ったタオルを洗い物のカゴに入れて少女はふと、鏡を無表情に見やる。
洗面所から戻った彼女は、ふと、彼女が居ないことに気づいた。 「・・・お姉ちゃん」 呼ばれたパクノダはいつもどおりにニッコリと笑って「何、」と振り返った。 「かーさん、どこ?」 直感的に、うそだ、と思った。 「・・・どこ?」 少女は叫びながらタロットカードの小アルカナ"剣の2"のカードをパクノダの目の前に掲げた。 「お姉ちゃん!! ほんとのこといって!! じゃないと2時間そのまんまなんだから!!」 いつも「はぁい」とイイコのお返事をするその口で、少女は恐ろしいことを言ってのけた。 |
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【必然なる運命―ノルンズカード―】
小アルカナVer
カードを引き、数字が大きいほどそのカードの属性物(棒=火、聖杯=水、剣=風、金貨=地)を長く操ることが出来る。
※カードを選ぶ場合は分刻み。裏側を向けて引いた場合は時間刻み。
※大アルカナと一緒に使うことは不可。