・・・――――――――さん













・・・ん―――――――――













さん・・・――――――――




















あ、気づいてくれた!!


本当だ。はじめまして、こんにちは。ええと・・・・・・、さんでよろしいですか?


え、あ、そんな警戒しないでよ。俺たち何にもしないよ?


リロウ、またそんな馴れ馴れしい口の利き方を・・・失礼いたしました、さん。
僕はリライ、彼はリロウと申します。
僕たちは"時と世界を司る女神"の代理をしておりまして、この度は


・・・っリライ! 刻の歪みが・・・!!


うっ・・・じ、時間がありませんね。
すみません、また後ほど必ずお伺いいたしますので、重要なところだけ掻い摘んで説明いたします。
質問などはまた後ほどお伺い


丁寧すぎだよリライ!! 早くしないと!!


うるさいリロウ、少し黙れ。
・・・失礼しました。
率直に申し上げます、この度""の体が機能を停止・・・つまり人間で言うところの死亡でございますが・・・。
そちらを僕たちで確認いたしましたので、平行時空空間規定第26条に則り、さんの魂を平行世界へ一時固定させて頂きます。""の世界での新たな体の作成には約10年を予定しておりますので、平行世界への一時固定も同程度となりますのでご了承ください。
・・・ただ、前回の一時固定時においてさんが行いました行為により、平行世界のバランスが大きく崩れてしまいまして・・・。
前回さんが""の記憶を持ったまま平行世界に飛んでしまったのは僕らの責任でありますので、さんに直接のペナルティは発生いたしませんが、如何せん今の状況ですと今後平行世界の崩壊も視野に


リラァーイ!!ながい!!長いよ!!!
ていうか歪みがっ! 歪みがもうそこまできてるよ!!!


だから黙ってろっていってんだろうが!! 刻の歪みぐらい何だってんだ!! ちょっと渦潮に巻き込まれるぐらいだろうが!!


リライ怖い! ていうか渦巻きやだよ!!


だ、ま、れ!!!


ギャヒィ!!


・・・たびたび申し訳ございません。
ええと・・・まあそういう訳がございまして、一度固定をしていただきますが、その後調整などさせていただきますので、ご協力を仰ぐと思われます。尚この記憶は一時固定時に消去されてしまう可能性もございますが、またお伺い致・・・―――――

























彼女はふと瞬きした。
どうやら起きようとしてベッドの上で座ったまま、うつらうつらとしていたようである。
なにやら白昼夢のようなものを見たような気がしないでもないが、と思いつつ壁のカレンダーを見やった。
案外マメな(本を読みふけってる間はご飯もお風呂も睡眠すらも忘れてしまうが)クロロが毎日日付が変わると同時に×印をつけていてくれたおかげで、今日はあの日――クラピカに【束縛からの解放―フェンリル―】を仕掛けてから1年半、経っている事がわかる。
彼女は苦笑した。
やはりこの世界とあちらの世界はリンクしていて、尚且つ1つの世界の肉体が死ぬあるいは仮死(植物)状態になるとどちらかの世界に魂が"逃げる"用にできているらしい。

そう、彼女は今日――正確には昨日の深夜――向こうの世界で息を引き取ったのだ。

けして安らかな死に際ではなかった。
偶の休みを利用して母と二人、父の墓参りに行った帰り。
急カーブで曲がり損ねたらしいトラックに、正面から突っ込んでこられた。
覚えているのは、タクシー運転手の凍りついた斜め後ろからの表情と、母の死に際。
母はトラックの積荷だったらしいおそらく鉄の骨組みを、顔面で受け止めて・・・――――。

彼女はふと、自身が震えていることに気がついた。
眉間に皺を寄せてから、彼女は冠りを振る。
思い出しては・・・いけない。
こちらの自分はハンターであり、殺し屋であるのだから。
・・・このぐらいのことで動揺していたようでは、この先生きていけない。

音も無く部屋に入ってきたクロロに「ノックぐらいしてよ」と苦笑してから彼女はベッドを降りるために上靴を探した。

「彼女、来てくれるって?」
「ああ。約束だったからな。が起きたっていったら30分でこっちに来るって意気込んでた」

彼女は軽く微笑んでからベッドを降りる。
随分と伸びてしまった緑の帯びた黒髪を、軽く後ろに撫で付けてガウンを羽織り多少ふらつきながらクロロの元へ歩いた。

「・・・本当に大丈夫なのか」
「ええ。・・・1年以上眠り姫だった様だけど、念の容量はそう変わらないわね・・・筋力は落ちてるかもしれないけど」
「結構フラフラだぞ・・・」
「そうねぇ・・・鍛えなおさないと。まあ、まずは」

彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべて「早くマチに来てもらって、蜘蛛彫ってもらわないとね」と寝室を後にした。

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