「・・・」

彼女は重い瞼を押し上げてベッドサイドの時計を見た。
時間は6時19分。
いつもより10分ほど早い起床である。
音もなく上半身を起こした彼女は、隣で眠る彼の気配に顔を綻ばせながら遮光性のカーテンをあけた。
柔らかな秋の日差しが部屋の中を満たして、少しだけ残った眠気をかき消す。
彼女は一度大きく伸びをしてから未だに寝ている彼の肩を揺さぶってやろうと再度ベッドへ近づいた。

「おきて」
「・・・」
「・・・おきてったら」
「・・・」

日の光から背を向けて枕に顔を押し付ける彼に彼女は眉をハの字にしながらも、少し笑う。
彼女はやれやれとため息をついてからさっさと着替え「いいわ、あの子に起こしてもらうから」と悪戯っぽく笑った。

















双子調停者の提案とは至ってシンプルであった。
彼らがの中へ入りこちらのの体が生まれてくるところまで時間を戻す。
向こうとこちらの時間はリンクしているので当然向こうの時間も巻き戻るが、それは想定内。
そしてゆがみが生まれた瞬間――彼女とクロロの出会いの瞬間をもっとずっと早い段階で起こしたのである。
もちろんの記憶はリセットされている。しかしクロロと出会った時点で向こうとの意識融合が始まるのは必然なので直せない・・・だが、意識融合が"早まった"せいでの記憶を持ちながらも彼女は"原作をしらない"―――双子はそれを利用したのだ。
彼と彼女はどうあっても惹かれあう存在であるために、彼らの出会いから恋人になるまでの時間はそうかからない。
少しアダルトな話ではあるが、いずれ生まれてくる予定だった彼女らの"子供"・・・―――彼らはその子供の中に溶け込んだ。

それは賭けでもあった。
もし少しでも子供が生まれてくるのが遅かったなら、改ざんは困難を極めてしまう。

そして時は1997年・・・―――。

























「っとーさぁーーーーん!!」

ボスンッと軽快な音をたててベッドが揺れた。
父と呼ばれた黒髪の青年が「うっ」と変なうめき声を上げる。――もちろんわざとだ。
だがそれに気づかない少女は、彼が呻いたことに「してやったり」と笑って「おきておきておーっきてー!」と何回もボッスンボッスンと彼の上で飛び跳ねる。

「かーさんが、おきてって!」
「・・・いま、なんじだ」
「んーと、ひちじ!」
「・・・しちじ、だろう」
「あ、まちがえたー」

彼女はその漆黒の瞳を恥ずかしそうに細めてから「7時だからおきて、おとーさん」と笑った。
漆黒の瞳と緑を帯びた黒い髪を持つこの少女は今月3歳を迎えたばかりの、とクロロとの間に生まれた子供である。














時は、双子の思惑通りに改ざんされ始めた・・・―――。













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そんなわけで、次回より子供の名前が必要になります。
お手数ですが名前変換の苗字のところに子供の名前をお入れください。