「これよりヴァリアー・レヴィ雷撃隊、雷のリングの奪還に向かう」
「・・・」

なんでよりによって私の巡回中にこう、くるのかね・・・。
いや、別に見つけたからって無視すりゃいいのかもしれないけど。
けど、それはそれできになるし。
というかまた知らない間に破壊活動されてたら、めちゃくちゃ面倒だとおもうし。
なんて、目の前を駆け抜ける長身の男4人後を追いながら、自分に言い訳をした。

・・・って、ここら辺ってたしか沢田綱吉の自宅付近じゃない。

リング奪還って強面のたらこ唇はいってたし、と自分の左手中指に収まっている"雪のリング"をチラリと見やった。
私は「ふむ」と軽くつぶやいてから物陰にサッと隠れて携帯を取り出す。
あ、もしかしたら私、恭弥と草壁意外でこの携帯使うのはじめてかも。

『どうした、何かあったのか』

コール2回で出た相手・・・沢田家光はちょっと困惑気味だった。
それに少し笑ってから、声を潜める。

「・・・ヴァリアー・レヴィ雷撃隊と名乗る怪しい集団がそちらへ向かっています。気をつけて」

それだけ伝えると、返事も聞かないまま携帯を切ってその場を後にした。

「・・・悪いけど、高みの見物をさせてもらうよ」

ま、町に被害が出たらただじゃすまないけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「・・・ふーん、ガチンコ勝負ねぇ」

チェルベッロ機関と名乗る彼女たちの真意やら、9代目の真意やらはまあ横においておくとして。
疑問がひとつあるんだけど、などと思っていたら門外顧問が意義を唱えて却下された。
あれじゃあ、守護者になりうる(らしい)私の意見は聞いてもらえないかもしれない。

「そこで、真にリングにふさわしいのはどちらなのか、命をかけて証明してもらいます」

なんて、彼女らはいってるけど・・・私の場合ハーフにならないリングなんだし、ガチンコ勝負もへったくれもないしなぁ。
・・・まあ、一応聞くのが筋か。

「すいません、異議あり」
「え!?」

ヒラリと電柱の上から降り立った私に、沢田綱吉が驚きの声を上げた。
ってか、君はいつもそんなビックリした顔ばっかしてない?
しかも今回は腰ぬけてるっぽいし。・・・ちょっと、笑えるんだけど。

「って、その腕章・・・風紀委員・・・っていうかこの前の・・・!」
「ケッ!ヒバリの配下が何のようだよ」

しかし、この銀髪ボーヤは口が悪い。(たぶんきっと)私が年上なのに。
ていうか、ほぼ初対面の相手には敬語使いなさいよ敬語。日本人でしょう?
という悪態はまあ、今度あったときにでもいうとして。
私はチェルベッロと名乗る彼女たちに向き直った。

「チェルベッロ機関さん、異議というか質問なんですが」
「・・・はい」

彼女らは見るからに警戒しているが・・・もしかして、9代目から聞いていないのか、私の存在を。
いや、そんなことはないはずだ。
だって9代目の直属とかいってたし。
この雪のリングにしろ封印されていたということは、この封印を私の存在を知った彼がといたということ。

「7種類のハーフボンゴレリングはいいとして、雪のリングはハーフにならず、手元にあるんですが」

この場合、どうするんですか?・・・と笑顔(といっても黒いキャスケットで口元しか見えないだろうが)で言ったら、その場が凍りついた。
・・・あれ?
困って家光を振り仰ぐと、非っ常ーに困った顔の笑顔と鉢合わせた。

・・・あれ、もしかして、私の存在って機密事項とか超極秘とか、そんな・・・?

「・・・雪のリング、だと?」

その瞬間、ものすごい殺気が私を襲った。
あわ立つ背筋をなだめながらその殺気のほうに視線を向ければ、先ほどリボーンにXANXUSと呼ばれた男。

―――・・・いやだなぁ。

この男からは血の臭いがする。
最近マフィアらしいマフィアを見ていなかったものだから、忘れていた。
そう、マフィアとは対外、こんな匂いを放っている。

「では、貴様が"終焉の雪"だと?あの伝説の」
「伝説かどうかはしらない。けれど、現に雪のリングは」

そういって、彼にリングをはめた左手のこぶしを向けた。

「ここに、ある」
「・・・」

瞬間、彼は壮絶な殺気とともにその口の端をあげて「雪か、笑わせる」と呟いてからきびすを返した。
その態度にむっとして、何か言ってやろうと口を開いたが、われに返ったチェルベッロの彼女たちが「雪に関しては」と口を開いたことで私は口を閉ざした。・・・くそう。

「それ相応の試練を用意いたします。ガチンコ勝負、雪の守護者の試練・・・場所はともに深夜の並盛中学校」
「詳しくは追って説明いたします」

早口で伝えられたその言葉に沢田が「え、並中でやんの!?」と至極全うな突込みを入れた。
おお、意見が合うじゃないか。
ていうか、学校でバトルとか、公共物破壊する気満々だなチェルベッロ。
・・・恭弥が知ったら、どうなることやら。

「それでは明晩11時、並盛中でお待ちしています」
「さようなら」
「ちょ、まってそんな」

沢田があわてて彼女らを追おうとするが、ときすでに遅し。
というか、ずいぶん身軽だなチェルベッロ・・・彼女らも何らかの訓練を受けている人間と見て差し支えないかな。
まあ、マフィアの内部抗争の火種にもならないこんな勝負で、ただのジャッチを使うわけないか・・・。
にしても、わかんないな9代目・・・こんなことになるならハーフにならないリングを渡す私には、それなりに何かを伝えてくれてもよさそうなものなのに。

「・・・あ、の」

などと思考していると、いきなり声をかけられた。
ああ、沢田綱吉。

「えっと、その・・・雪の守護者って」

って、沢田にすら何もいってないの!?
本当にもしかして超極秘事項だった!?
てかそんなんなら最初からいってよ!!
という意味合いをこめてバッと門外顧問を振り仰いだ・・・ら、いなかった。チクショウ逃げやがった!
はぁ、と小さくため息をついて、足元のリボーンを仕方なしに見つめると、ニッと笑われた。
いや、ニッってなんだよ、笑うなよ。
あーなんかもう面倒臭くなってきた・・・。

「・・・説明は、するならリボーンがして。私は巡回にもどるから」

小さく足元の彼につぶやいてから、助走なしで塀の上にあがって(その瞬間銀髪ボーヤが「てめぇ!10代目の質問に答えやがれ!!」と吼えた。よく吼える子犬だこと。)屋根伝いにその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っどういうことだよ、リボーン!!」

守護者は7人じゃなかったの!?と叫ぶツナに俺はちょっと眉間にしわを寄せてから、ため息をついた。
そう、本来なら守護者は7人。
ボンゴレ2代目から"守護者は「雨」「嵐」「晴」「雲」「霧」「雷」の7人"と決まっていた。

何故なら、初代が最後・・・2代目からは「雪」が現れなかったからだ。

何ゆえに「雪」という8つ目の指輪がありながら、その指輪の持ち主たる守護者が現れなかったのか、理由は伝えられていない。
まあ、こういった決まりごとには超直感に頼っている節のあるボンゴレのこと、おそらく2代目が直感的に"「雪」はいない"と感じ「雪」が現れるまで封印したのかもしれない。

―――・・・もしくは、初代の「雪」があまりにも・・・。

「リボーン!!」
「るせぇぞツナ。近所迷惑だ」

"そんな今更ー!?"と顔に書いてあるぞ、ツナ。
・・・まあ、否定はしないが。

「リボーンさん、俺も気になります・・・つーか、10代目に対する態度がきにいらねぇ!」

しかも雲雀の配下っすよ!と叫ぶ獄寺にちょっとため息をついてから、俺は「雪は特殊だ」と口を開く。

「この前、リングは天候になぞらえられたんだっていったよな。そして、その特徴も」
「・・・うん」
「雪の特徴は"すべてを奪い覆いつくす、けして染まることのない色なき終焉"」

初代の「雪」は現れたが最後その全てを破壊しつくし、全てを無にする存在だったらしい。

 


故に、危険だと・・・あのリングは封印されたのかもしれなかった。