「借りは返したよ」

す、捨てたー!!ヒバリさんが獄寺君に肩かしてるなんて!と思った俺の感動をかえして!!
ていうかおもいっきり獄寺君尻餅ついちゃったよ・・・痛そうだな・・・っていうか全身傷だらけじゃん!ヒィイどうやったらあんなに生傷つくってこれるの!?怖い!やっぱ怖いよこの人たち!!

「これはこれは、外野がゾロゾロと。千種は何をしているんですかねぇ」
「へへ・・・メガネヤローならアニマルヤローと下の階で仲良く伸びてるぜ」
「なるほど」

ニッと得意げに笑った獄寺君はボロボロだったけど、なんだかかっこよく見えた。

「すごいよ獄寺君!! か・・・体は大丈夫なの!?」
「ええ・・・大丈夫ッス・・・」

なんていってるけど顔は青いし、なんか落ち込んでるし・・・きっと無理してたんだ。
すごいな、獄寺君も・・・それから、ヒバリさん・・・あれ?ヒバリさんなんかキョロキョロしてる。
なんだろう、さっき投げたトンファーなら目の前に落ちてるのに。
何をさがしてるのかなぁ、と思ってヒバリさんの視線を追った。
そしてその視線が、ある一点で止まる。
それは、さっきまで六道骸が座っていたソファだった。
っていうか、このガランとした廃墟にはあんまり似つかわしくない感じの結構綺麗なソファだよね。
もともとあったのを直したのかな・・・。クッションだって真っ白なのをあんなに・・・って、あれ?
なんかあのクッションおかしくない?なんかちょっと見たら髪の毛・・・みたいなってあれって人の頭じゃん!!
うわああああ生首いいいい・・・じゃないや、胴体あるし・・・。
それにしても真っ白な髪なんて珍し・・・ってあの人風紀委員の腕章つけてる!?
え、ていうことは少なくとも並中生ってこと!?見たことないよ!?
変なところで驚いていると、ヒバリさんは無言で投げたトンファーを拾い上げ、骸を正面から見据えた。

「僕のものに手を出すなんて、いい度胸だね・・・覚悟はいいかい?」
「これはこれは、怖いですねぇ」

ひいい!
ヒバリさん自分のもの(って、あの風紀の人だよね。やっぱりヒバリさんも仲間は大切なんだなぁ)を取られるのってものすごく嫌がりそう!!ってか実際めちゃくちゃ怒ってるし。

「だが今は僕とボンゴレの邪魔をしないでください」

って話こっちに飛んできた!?
あ、見ないで!!こっち見ないでヒバリさん!!

「第一君は立っているのもやっとのはずだ。骨を何本も折りましたからねぇ」
「ヒバリさん、そんなひどい目に・・・!!」

確かにものすごいふら付いてるし、なんか腕押さえてる。
でもトンファーもってるし、折れちゃいないのかな・・・。

「遺言は、それだけかい?」

そういってヒバリさんはトンファーを構えた。





























ドッと骸は倒れこみ、槍が彼の手からすり抜けてカラカラと床を滑った。
それと同時に天井で満開だった桜がフッと消える。

「桜は幻覚だったんだ! ていうか、これって・・・」

ツナはだらしなくもポカンと口をあけてやがるし、獄寺はヒバリにいいとこ取りされて不満そうだが・・・。
俺はニッと口の端を上げた。

「ついにやったな」

六道骸を、倒した。
・・・まあ、善戦したのはツナ以外のファミリーで、こいつはまったく役に立たなかったが。(と、口に出したら「ほっとけよ!!」と怒鳴られた。どうやら気にしているらしい。いい傾向だ)
まったく、レオンが繭になるからツナにどんな危機が来るのかと思ったら、これだ。
あまりに強い守護者っつーのも、考え物かもな。

「・・・

その声にハッとして顔をあげる。
ヒバリがほとんど焦点の合わない目で骸の座っていたソファをめざし、歩いていた。

「ひ・・・ヒバリさん。大丈夫ですか!?」
「・・・」

ツナの声を無視して(もしかしたら聞こえていないのかもしれない)ヒバリはボロボロの緞帳がオドロオドロしいステージにあがり、ソファの前にひざを着く。


「・・・」

俺はふと、フゥ太のランキングを思い出して戦慄した。
・・・・アルバ=アルビカーレ!
風紀委員だったのか。・・・いや、もしかしたら在校生でない風紀委員なのかもしれない。
だから一応並盛中関係者としてランキングには乗ったが、名簿にはその名がなかった。
この町を牛耳っているヒバリのこと、そんなのが存在しててもおかしくない。
俺はツナとともにトテトテとヒバリのもとまで歩き、トンッとソファに飛び乗った。
その瞬間グラリとヒバリの体が傾いで、ソファの横に倒れこんだ。
あわてて駆け寄ったツナを「骨を折ったっていってたろ。うごかさねぇ方がいい」とたしなめてから、その白い髪の風紀委員をじっと見やる。
顔は青白く、唇はそろそろ紫色だ。・・・これは。

「毒、か?」
「え!?」

驚いた声を出したツナを振り返り「系統はわかんねーけどな」と少し眉を寄せた。

「毒の種類がわかんねー以上、解毒剤はのませらんねぇ」
「そんな・・・だってリボーン、この人・・・顔色が!!」
「うっせーぞツナ、そんなことはわかってる。今ボンゴレの医療チームがこっちに向かってんだ・・・それまで本人に頑張ってもらうしかねぇ」
「・・・っ!!」

ツナの顔が沈痛なものになる。・・・わかってる。俺だってできることなら処置がしたい。
けど、毒の専門家であるビアンキは負傷していて意識がない・・・あれは、俺の落ち度だ。
俺はギリリとこぶしを握りこみ、ついでふっと力を抜いた。
・・・家庭教師の俺が、感情的になってどうすんだ。しっかりしろ、俺。

それにしても、と俺はじっと顔色の悪い白い髪の風紀委員を見つめた。
なぜこの風紀委員はここに。
2位だからか?それともヒバリをおびき出すためか・・・。
どうやら""は、ヒバリにとって「かけがえのない存在」のようだしな。
だが、珍しいこともあるもんだ。
一匹狼のはずのヒバリが・・・。

「彼女に気安く触れないでください、アルコバレーノ」

その骸の声に「え、この人女の子なの!?」とあさってな方向の突込みが入ったが、俺は突っ込みにさらに突っ込みをする余裕はなかった。いやな汗が背中を伝う。
ステージ下ま歩いてきていた獄寺が「てめー!!」と勇むのを聞きながら、ギッと骸をにらんだ。


だが俺の心配は杞憂に終わる。


なぜなら反撃を仕掛けてくると見た骸が薄い笑みを浮かべながら、その手にした拳銃の銃口を自らの米神に当てたからだ。

「Arrivederci」

骸は笑いながら、その引き金を引いた。